DB Online Day 2016 データベースの「自由な選択」

ということで、どういうわけか今週も大崎に来てしまいました。
先週(OSSコンソーシアム総会)は大崎駅直結のゲートシティでしたが、今日は駅からちょっと歩いた場所にある大崎ブライトコアへ。

きちんとまとめになってないので、ちょい長いですが以下、時間があれば見てくださいませ。


DBMSの市場の現状と今後」〜このままOracleを使い続けるのか〜

  • 講師はiTRの生熊さん。
  • iTRは調査&コンサル会社。調査会社の立場からみた市場動向がテーマっぽい。
IT予算の傾向
  • IT予算比率は3%に満たない程度で横ばい。
  • ITの新規投資比率は低下傾向
  • IT戦略=売上増への直接的な貢献。コスト削減ではない。
ITの動向の重要度と伸び率
ビッグデータって本当?
  • 2014年のデータ流通量=14.5 EB.
    • 9年間で9倍以上に。
  • 今後は非構造化データが増えるのか?
    • センサ・画像データのような非構造化データが増えているのは事実。
    • しかし顧客データや経理データのような構造化データも増加はしている。
企業ITの現状
  • 増えないIT予算、増やせない新規投資、増加するシステムとデータ
  • 要するにIT部門はつらぽよ。
データ管理基盤の変遷
  • (OODB・・・XMLDB・・・これはRDBMSに吸収、ということね)
  • 今はNoSQL, Hadoop/Spark, RDBMS
    • NoSQLはある意味先祖返り。
利用しているDBMSの種類と要望
  • 商用RDBMSOSS RDBMSの比率は2:1くらい。
  • Hadoop/Spark/NoSQL/XMLDB/OODB/階層・NW型は同じくらい。OSS RDBMSの1/3くらい。
    • (グラフデータベースがない・・・グラフデータベースはNW型に含まれているのかしらん?)
  • ユーザは製品価格とサポート価格には結構不満を持っている。これ重点な。
  • でもリプレースを考えているのは16%程度。意外と少ない。
  • 今後の方針
DBMSに対する投資
  • 基本的には横ばい。しかし、半数近くは投資増加を考えている。
    • 企業規模が大きければ投資を増加しようと考える傾向がある。
  • 用途の主な3本柱。顧客管理、販売支援/営業支援、データ分析
デジタルイノベーションがもたらすもの。
  • データ/情報はますます重要に。
  • IoT(収集)→BigData(蓄積)→BI/AI/機械学習(分析)→ここから取り出した情報を活用する。
  • デジタルビジネス:データ・つながり・体験を価値として提供する。
DBMS管理からデータ管理へ
  • 会社にはデータオフィサーが置かれるだろう。
  • IT部門はDBMS管理だけでなくデータそのものの管理へ。
  • クラウド化によりシステム管理自体が楽に。


ためらっていませんか?PostgreSQLの適用 −押さえておきたいポイントと適用事例

OSS DBMSの活用状況
PostgreSQLですすめるビジネス・イノベーション
  • 「データのオープン化」が肝である。
  • レガシーデータを新システムにETL等で変換しなければならない。
    • レガシーデータを直接PostgreSQLデータ化。
    • ETLの代わりにPostgreSQL化する。
      • (DBLINKなの・・・FDWじゃないの・・・?)
  • 富士通PostgreSQL
適用事例1
適用事例2
  • マイグレーションを起点とした適用領域の拡大
    • 信頼性の確保
    • 最終的に集約したい。運用コストの最適化。
      • 運用負荷の軽減。仮想化も併用。
    • 意思決定の迅速化
  • Step1 信頼性向上
    • データベースの二重化(Streaming Replicationの利用)
      • コストも高くならない。
    • 透過的暗号化の適用
    • SRによるディザスタリカバリ(暗号化したまま、がポイント)
  • Step2 データ集約
    • サーバ集約
  • Step3 分析
    • 待機系を利用したデータ分析
    • インメモリカラムナ
    • 並列SQL処理
  • 移行の取り組み
    • 移行コストの見積もり
    • DBMS互換機能の相談
    • 移行ツールや移行ガイド
    • 顧客へのPostgreSQL教育。これが一番重要と言っていた。
  • Symfoware Server(富士通PostgreSQL)のポイント
    • NCHAR対応
    • WAL二重化
    • 透過的暗号化
    • 並列SQL処理
    • インメモリカラムナ
適用時のポイント
  • 移行の進め方
  • サポート期間(PostgreSQLの頻繁なバージョンアップ対応含む)
    • 販売終了後5年+延長サポートあり
    • PostgreSQL自体のEOLは5年
  • OSS製品組み合わせの担保
    • Symfoware Serverは周辺ツールもセットで担保している。


企業で使えるPostgresとは?EDB Postgresはなぜ企業で導入されるのか?

  • 前半の講師はEDB社の高鶴さん
    • (もしかして、今年の4月に問い合わせに対応してくれた人かな・・・)
    • まだEDBはシェアはそれほど高くはないが、今年になって引き合いが多くなってきた。
    • 某商用DBMSのライセンス形態変更の影響か?と。
EnterpriseDBの紹介。
  • PostgreSQL、関連製品(EDB Postgres)の販売、サポート。
    • 運用ツール、連携ツールも開発、XAコネクタも予定。
  • PostgreSQL開発コミュニティへの参加も多数。
    • Amit, Bruce, Robert...
  • 製品ロードマップの公開
  • 24h365dサポート
  • Fixパッチの提供
  • Private Cloud, Public Cloudにも対応
    • OpenStack準拠のPrivate Cloud構築
  • EDB Postgres はPostgreSQLメジャーバージョンリリースから数ヶ月で対応。
PGDGとの関連
  • 性能改善等はコミュニティへ還元
  • Oracle互換などはEDB独自で
EDB Postgresの売り
    • パスワードポリシー、ユーザ管理機能強化
    • 監査機能強化, etc
      • スケーラビリティ向上、リソースマネージャ
      • 高速パーティション化、Oracle互換構文
      • クエリヒント
      • SQLプロファイラ、INDEXアドバイザ
      • DRITA(statspack相当)
    • Oracle互換性
    • Oracle RMAN相当のバックアップ・リカバリツール
    • データローダ(EDB Loader)はSJIS, EUC, UTF8対応している。


  • 後半はアシストでの事例紹介
  • 講師は徳原さん。
採用傾向
  • EDB Postgres導入は成長傾向にはある。
  • Oracle DB EEかからの移行が主力。
  • 稼働環境は半分は仮想環境。
    • ポイントは割当CPUコアライセンス。ソケット数ではない。
    • 利用CPUコア数は半分が4コア。8コア〜36コアもそれなりに利用。
移行事例時の選定ポイント
  • 宅配事業向けの在庫管理システム
    • 仮想化が契機。仮想化環境でのOracle EEのライセンスコストがネック。
  • 電子基盤企業向けEDIシステム
    • ここも仮想基盤上でのコストが問題だった。
    • SQL互換率98%。移行が非常に楽だった。
  • ISPアカウント管理
    • Oracle EEからの移行
    • ハードウェア刷新の併用で検索が10倍高速
  • 生産/販売/物流(後述)
  • IoT エネルギーマネージメントシステム
    • 新規システムでの採用
    • 日時:1280万件のセンサ情報収集
  • 店舗サポート・システム
    • Oracle EE RACからの移行
    • RACに相当する可用性を提供(Down time 50秒)
  • ANA ITコスト構造改革
OracleDBからの移行
  • 1400本のストアド・プロシージャ→97%互換
  • 新バージョンになればOracle互換機能は増えていく。
EDB Postgres採用にむけて
  • EDB Migration Toolkit
    • 移行成否、移行エラーを確認可能。
  • 移行体験サービス(有償)もある。
  • 移行アセスメント
    • 移行の難易度判定、コスト効果のレポート提示。


製品の組み込みDB も PostgreSQL で!製品での PostgreSQL/PowerGres 採用事例のご紹介

  • 講師はSRA OSSの佐藤さん
    • あれ、以前と雰囲気が違う気が・・・
SRA OSSの紹介&自己紹介
  • SRA OSSの本社は米国・サンタクララにあるよ。
  • 佐藤さんは石井さん配下のサポート部隊の長。
PostgreSQLへの取り組み
組み込みDB(パッケージ製品用組み込みDB)
  • パッケージ製品用DBMSの悩み
    • 価格的に製品を売っているのかDBMSを売っているのか分からない問題。
    • 冗長化・暗号化などのDBMSオプションが高い問題
    • OSS化はノウハウがない、サポート体制が不安問題。
  • 更にOracleライセンス体系変更(Oracle SE2一本化)問題が。
組み込みDBの要件
  • インストールが楽
    • DBのインストールを意識させないのがベスト
    • PostgreSQLは△:インストーラメッセージが英語しかない
    • PowerGresは○:日本語対応
  • メンテナンスが楽
    • PostgreSQLは△:オンライン・バックアップ
    • PowerGresは○:オンラインバックアップGUI設定
  • サポート体制
    • 古いバージョンのサポート
    • PostgreSQLはX:自己責任、EOL5年
    • PowerGresは◎:延長サポート
  • 低コスト
PowerGresの紹介
  • 概要
    • 基本はPostgreSQLと同じ。
    • PowerGres Plus(富士通開発:SRA OSS販売)は独自機能追加もある。
    • 販売実績:10000本以上。
    • PlusはWAL二重化, TDE
    • HAはAct-Stb構成のクラスタウェア同梱
    • 24h365d サポート、7年サポート+延長サポート
    • PostgreSQL自体のサポートもやってる。
  • GUI管理ツール, Webブラウザベース
  • Plusの機能紹介。WAL二重化とTDE。
    • TDEのオーバヘッドが低いのが売り。
導入事例
  • HSOL「りいぶる」
    • PowerGres on Windows
    • 価格がポイント。自治体単位での導入がある。
  • カシオヒューマンシステムズ「ADPS」
    • PowerGres Plus
    • 個人情報管理のためのデータ暗号化が必要だった。商用RDBMS暗号化オプションが非常に高い。


スペシャル対談「石井達夫さんに訊く、PostgreSQLのこれまでとこれから −次期バージョン、PostgreSQL10.0はどこへ向かう?」

  • 今日のメインイベント。俺のタイピングが火を噴くぜ!
  • トーカーはSRA OSSの石井さんと、DBOnlineチーフキュレーターの谷川さん
  • DB Online立ち上げから5年ですか。
  • OSS DBMSの記事は結構人気のある長く読まれる記事。
  • 今回は公開インタビュー形式。
石井さんの自己紹介
  • もともとは組み込み系エンジニア。アセンブラとかもやってた。
PostgreSQLとの出会い
  • "PostgreSQL"の前から関わっていた。バークレー大学の"Postgres"プロジェクトの頃から。
  • ハワイ大学リポジトリの実装に関わっていた。RDBMS上にOO/グラフ的なものを作っていた。('92,93頃)
  • 帰国後、"Postgres95"に関するMLを立ち上げた。最初は数名くらいの有志から。
  • SRAの仕事として使いようになったきっかけは?
    • 1999年にPostgreSQLの仕事をするようになった。この年にコミッタ就任&JPUG設立。
    • JPUGは当時は50人くらい。企業でも僅かに使い始めた。(6.5のころ)
  • 当時の苦労談
  • PostgreSQLが広まるきっかけ
    • このころに本を書くようになった。これも普及に一役買ったかも。
OraclePostgreSQLの競合資料探したが日本にも米国にもなかった話
  • 実は日本はそのころからPostgreSQL先行国だった疑惑。
7.xの頃の苦労
  • このあたりで日本語対応を行った。
  • 他の言語をどうするのかは悩んだ。ネット経由でアジア圏の人に協力してもらった。
PostgreSQLイケるな?と思ったのはいつごろ?
  • 6.x のころはWALなかったし。性能は数tpsとかw
  • 2003年くらい(PostgreSQL 7.4くらい?)から使えそうな感触。
  • 7.4は結構安定したバージョン。ビジネスとして使うには良かった。
  • PostgreSQLが世に広まったのは、8.xのころという印象。
  • 日本はLinux普及が遅かった。だからWindows対応で広まったのでは。
  • (個人で気には8.3の自動バキュームなんだよなー)
レプリケーションの話
  • 当初はコア機能に入らなかった。pgpool-IIのレプリケーション機能の開発動機にもなった。
  • 9.0のレプリケーションが入ってから、PostgreSQLフォークが増えた。
    • 一回フォークしたら、コアに吸収されないと成長しないという問題。
9.xでの性能向上の話。
  • HW/Linuxの向上も関わっている。
  • PC Unix(FreeBSD等)が広まったのも一因かも。
商用DBMSからの移行
  • 移行というより、新規にPostgreSQL導入という流れだった。
9.xの進化について
  • 若い開発者がどんどん入ってきたのは大きい。
  • 若者は失敗を恐れない。馬力もある。
PGEconsの話
  • ベンダーが寄り集まってもアウトプット出るの?という谷川さんの疑惑。そこを覆したのは凄い。
  • 会社同士の競合もあったかもしれないが、検証を共同で実施できた。
  • PGEconsのマンネリ化問題w
    • 次のステップは開発者コミュニティへのフィードバック → CR部会
    • 日本のビジネスユースを掬い上げてコミュニティへ。更にPGEconsとして若い開発者を送りたい。
    • 日本の開発者のプレゼンスを高めたい。
PostgreSQLの今の立ち位置
  • 日本でPostgreSQLが良く使われているのか?特異なのか?
  • 最近はそんなことはない。日本以外の国でも使われている。最近は、むしろ日本もっと頑張れ的な。
世界のPostgreSQLイベント
  • 世界中でPostgreSQLイベントは開催されている。北米、ヨーロッパ、ロシア、インド、シンガポール
  • ロシアのカンファレンスの話。ロシアの象は登山服着用w
    • ロシアの大臣がカンファレンスでスピーチする。会場も大規模。派手。600人くらい参加。
  • カナダ(オタワ)
    • 最初の開催から10年。
    • 9.6のパラレルクエリの話など。
    • 9.1→9.5までの性能向上の過程。こうやってみると、順調に性能が改善されている。
      • 性能は開発者の関心の高い箇所。
      • パラレルクエリもその一部
  • 日本からはNTT関連メンバが多く参加している。
    • でも、まだ世界の開発者増加に比べると、日本の開発者増加は少ないという印象。
9.6は?10.0は?
  • 一応、9月か10月の予定。
  • 9.6は9.6のまま。10.0にはならない。次は10.0だろう。
  • じゃあ、10.0はどうなりそう?
    • そろそろ節目にきている。並列処理、クラスタリングがテーマではないか?
    • 過去にフォークしたクラスタリングプロジェクトは成功しているとはいえない。
  • 10.0=大きな変更というのは、並列処理というコアな部分の改善なので。
コミュニティ運営の課題
  • 古株の開発者と若手の開発者の意見の相違は、今のところうまくいってるように見える。
  • パッチを作る人は増えた。レビューア数が絶対的に足りない。対策中。
  • JSONなどコンサバでない機能の取り込みもPostgreSQLに入っている。これは世間の流れなのか、一部メンバが頑張っているのか。
    • JSON等はロシア開発者が頑張っている。データ型とかは受け入れられやすい。
    • (このへんは元々の拡張性の高さもあるよなー)
  • どんどんバグ出しをしてほしい。
  • PGEcons/CR部会でもそういう新機能への参画をするのか?
    • まずはTODOの整理から。
石井さんが気に入っているPostgreSQL
  • 元々、データの扱いに興味がある。大量のデータの管理などに興味がある。
  • PostgreSQLソースコードアーキテクチャが綺麗。
  • 変数名、コメントなど些細な部分にもコメントが来てくれるのは嬉しい。
  • 趣味として楽しめるPostgreSQL(笑)
PostgreSQLコミュニティに参画してほしい人
PGConf.ASIA!
  • 12/2, 3 @秋葉原
    • ASIA最大のイベントになるように。
    • 今後、アジア内で会場を持ち回りにしたい。
  • JPUG, PGEconsメンバの有志で活動中。
  • プログラムは募集中!
  • アジアの中でも中国は結構PostgreSQLは盛り上がりつつある。


その他

  • 大崎駅周辺、探してみると意外と中華系ラーメン店多いのね。
    • 今日食べたのはモヤシソバ(720円)@一番